仏壇の仕上げと素材

木の良さを最大限に活かす塗装

製品の仕上がりを決定づける塗装。現代仏壇に使われている代表的な塗装方法をご紹介します


ウレタン塗装

表面をウレタン樹脂の硬い塗膜で覆う塗装です。密着性があり耐薬品性と耐水性に優れています。着色と仕上がりを様々に変えられるので家具や建材など幅広く使われます。

ポリエステル塗装

透明度の高い塗膜で表面を厚くコーティングする塗装です。光沢があり耐薬品性、耐水性に優れています。光り輝く美しい鏡面が特長です。


ラッカー

古くから使われてきた塗料です。塗膜は繊細でしっとりした仕上がりになります。乾燥が速く作業性がよいため、住宅の建具や内装の仕上げなどに使われます

グラスコート

ガラスと同じ成分を主原料とし、有機化合物を発散しないエコ塗料。素材に塗料を浸透させるため自然な風合いに仕上がり、撥水性に優れ汚れにくい特長があります。


オイルフィニッシュ

塗料が木材の内部に染み込んで硬化するので、自然な風合いに仕上がります。手ざわりがなめらかで、木材の特徴や美しさがそのまま表現されます

本漆塗

漆の木の樹液を精製したもので、縄文時代から使われてきた塗料です。塗装後、何年もかけてゆっくりと硬化し、色漆は時間の経過とともに鮮やかさを増します。


仏壇をつくる素材

現代仏壇に使う材料には、家具と同様に、ウォールナット、メープル、ナラといった自然素材以外にも、商品の用途によって木材を2次加工した人工材が使われます。内部を構成する「構造材」と、構造材を覆う「化粧材」があり、それぞれの長所・短所を把握して、仏壇づくりに最適な材料を選びます。

構造材

無垢材(むくざい)

 木材をそのまま切り出したもの。木の持つ温かみや風合いに人気がありますが、湿度の影響を受けて反りやねじれを生じることがあります。化粧材としても使われます。

 

MDF(中密度繊維板)

間伐材から作った木のチップを細かくしたものに樹脂を混ぜ、加圧成型した環境にやさしい多機能ボード。反りやねじれ、割れなど無垢材の欠点を補った材料です。須弥壇などに使用しています。

 

 

合板(プライウッド)

一般に「ベニヤ」と呼ばれるもので、薄くスライスした原木を、互いに木目が交差するように重ねて接着し1枚の板にしたもの。もっともポピュラーな基礎資材です。仏壇の裏板などに使用しています。

 

フラッシュパネル

木材で作った芯材の両面に薄い合板などを接着し、パネル構造に加工したものです。日本独自の技術で、軽くて大きな強度が得られるという利点があります。側板などに使用しています。

化粧材

無垢材(むくざい)

切り出した表面が、そのまま仕上げ面になります。人間には作り出せない木目や色調、手ざわりが人気で、広く使用されています。


突板(つきいた)

天然の原木をかつらむきのように薄くスライスしたもの。家具に使われるもので厚みは0.2mm~0.3mm程度。0.5~0.6mmのものは「厚突き(あつつき)」と呼ばれ、特殊な製品にしか使われません。これをMDFや合板に圧着して仕上げます。木目がそろいやすく、良い木目だけを選別できるので無駄が少なくてすみます。家具や仏壇などの仕上げ法として最も一般的な方法です。


化粧シート

 非塩ビ(ポリオレフィン)フィルムに木目や模様を印刷したシート材。柄も豊富で技術力の向上により質感も天然木と比べて遜色のないものが多くラインナップされています。家具を始め住宅・店舗用品内装材として多用されており、近年非常に人気の高い化粧版として注目されています。非塩ビ系なので燃やしてもダイオキシンが発生しません


化粧合板

ベニヤなどの合板の表面に様々な方法で化粧処理した特殊合板をいいます。JISでは天然木の突板を貼った「天然木化粧合板」と「特殊加工化粧合板」に大別されます。「特殊加工化粧合板」は、基材となる合板にメラミン樹脂やポリエステル樹脂を圧着し木目などを印刷したもの(メラミン化粧板、ポリ合板)や、紙や布に柄を印刷して圧着したもの(プリント合板)などがあります。印刷なので色柄にばらつきがなく、統一感のある仕上がりになります。

木の豆知識

現代仏壇に使用される木について、知っていただきたいマメ知識をご紹介します。

 

 

木目と杢

木材の表面に現れる模様のことを木目といいますが、中でも数万本に1本しか生じない特殊な模様を「杢(もく)」といいます。さまざまな原因により木繊維に乱れが生まれたり、組織の配置や年輪の走り方などによって現れます。

【代表的な杢】
バーズアイメープル、シカモアなど


柾目(まさめ)と板目(いため)

「柾目」は年輪の筋に対して垂直にカットした板で、縦方向に直線状の木目が出ます。15cmの柾目の板を採るには、直径45cm以上で、樹齢100年以上の木が必要です。さらに仏壇には節の少ない材を選びます。収縮、変形が少なく、水漏れに強いといった特徴があり高級材として重宝されます。一方年輪に対して平行にカットした木は「板目」と呼ばれ、楕円状の木目が現れます。